DLC (Diamond-Like Carbon)
DLC (diamond-like carbon) は、ダイヤモンドに似た特性を持つ炭素系薄膜で、高硬度と化学的安定性が特徴です。
DLCは耐摩耗性や低摩擦係数を備え、医療機器、自動車、電子デバイスなど、幅広い分野での応用が期待されています。
私たちの研究室ではDLC膜を異なる材料に堆積し、各用途での特性向上と耐久性を探究しています。
研究テーマ
DLCの耐久性・耐腐食性に関する研究
DLCの特性を向上させるため、様々な環境条件下での耐久性や腐食に対する抵抗性を評価します。
高分子材料へのDLCコーティング技術の開発
高分子素材にDLCをコーティングし、柔軟性を保ちながら耐久性や滑り性能を向上させる方法を検討します。
医療デバイス応用に向けたDLCの活用
DLCの生体適合性を活かし、医療器具への応用可能性を研究しています。
g-C3N4 (Graphitic Carbon Nitride)
g-C3N4 (Graphitic Carbon Nitride) は、
比較的合成が容易な有機半導体であり、光触媒やガスセンサ、フレキシブルデバイスへの応用が注目されています。
当研究室ではg-C3N4 の電子特性を利用した新しい応用分野の開拓に取り組んでいます。


研究テーマ
グラファイト状窒化炭素膜のデバイス応用
ガスセンサやエネルギーデバイスへの応用を目指し、膜の特性を最適化します。
グラファイト状窒化炭素膜の電子物性制御
g-C3N4 の電子物性を微細に制御することで、機能性を高めたデバイスの開発を目指します。
シート状有機半導体の成膜
軽量で柔軟なシート状有機半導体の合成と、それを用いた応用可能性について探究しています。
研究室の設備紹介
CVD (Chemical Vapor Deposition) 装置
CVD(化学的気相成長法)は、化学的な成膜方法で、真空中にガス状の原料を送り込み、
熱、プラズマ、光などのエネルギーで化学反応を起こさせて薄膜を形成します。
このプロセスにより、均一で高品質な薄膜を得ることが可能です。
当研究室ではDLCの成膜にCVD装置を使用し、膜の構造や組成を微細に調整しています。
具体的には、反応温度、圧力、ガスの流量を調整することで、膜の特性を最適化し、
耐久性や導電性を向上させています。
この技術を活用し、バイオマテリアルや電子デバイスへの応用を探索しています。
CVDの原理
CVDの基本的な原理は、気相からの反応物が基板上で化学反応を起こし、固体の薄膜を形成することです。
まず、ガス状の原料 (CH4) が反応チャンバーに導入されます。
その後、加熱やプラズマのエネルギーを加えることで、化学反応が促進され、
反応生成物が基板表面に析出し、薄膜が形成されます。
このプロセスにより、非常に薄く、均一な膜が生成され、
特に高品質な材料が必要とされる場面で重宝されています。
PVD (Physical Vapor Deposition) 装置
PVD(物理蒸着法)は、物理的な成膜手法で、主に高真空(10-1~10-5Pa)環境下において、
薄膜となる成膜物質を加熱、スパッタリング、イオンビーム照射、レーザー照射などの手法を用いて
粒子(原子・分子)状態に蒸発・飛散させます。
その後、これらの粒子が基板や基材の表面に付着・堆積することで薄膜が形成されます。
当研究室では、PVD装置を使用して、様々な基材(例えばSiウエハやガラス)に薄膜を成膜し、
それらの特性や性能を評価しています。
このプロセスにより、耐摩耗性や耐腐食性を向上させるための新しい材料の開発に貢献しています。
特に、電子機器や光学デバイスの性能向上に向けた研究が進められています。
PVDの原理
PVDの一種であるスパッタリングは、真空炉内でアルゴン(Ar)ガスを供給し、
イオン化したArを金属に衝突させることで、金属表面から粒子をはじき出します。
このはじき出された粒子が基板に堆積され、薄膜が形成されます。
砂場に石を投げ、はじけ飛んだ細かい砂を対象物に付着させるようなイメージです。
ちなみに、Arガスを使う理由は、不活性ガスであるため、材料と反応が起きないからです。